最近、ブログやTwitterを見てくれた薬学生が、
「私も協力隊に行きたいけれど、迷っている」
「海外で働きたいけど、どのような方法があるか」
「語学が不安だけど、どうしたらいいか」
など、質問を下さいます。
このような質問を頂くことは私にとっても、自分自身の歩んできた道を振り返る、貴重な機会となっています。ありがとうございます。
海外で働くいくつかの方法については、前回 簡単に紹介しました。
学生の方に、
「後町はどのように進路を決めたのか?」
「なぜ協力隊に参加したのか?」
と言う質問を頂いて、改めてその理由と決め手は何だったか振り返り、考えてみました。
様々な思い、背景、そして迷いがあったことは事実です。
やはり、一度社会に出て、日本で薬剤師として、経験を積んでからの方がいいのだろうか?という悩みもありました。
そんな中で、進路を選択するに当たって、自分が大切にしていたのは、以下のようなことだったと思います。
1.現場で人が見える仕事がしたかった
2.薬剤師としての可能性を拡げることに挑戦したかった
3.国際的なキャリアを積んでいくための第一歩と考えていた
4.先延ばしをしたらまた絶好のタイミングとチャンスが来るとは限らないと思った
1.当時、私の少ない経験と知識においては、日本で薬剤師として働く=患者さんや人々と向き合う時間より圧倒的にモノを扱う作業の時間が多いと認識していました。
なので、現地の人と一緒に、生活や文化、社会とのかかわりの中で、できる仕事に魅力を感じました。
2.学生時代に国際薬学生連盟(IPSF)で活動した経験から、海外の薬剤師は、枠にとらわれず、様々なフィールドで活躍していることを知り、薬剤師として、社会に貢献する方法は、無限大にある気がしていました。IPSF時代に、Public Healthの活動に力を入れていて、エイズ対策はその一つだったので、その後の進路として、自分がエイズ対策に関わることは自然な流れでもありました。
3.将来、国際的な課題を解決していけるような仕事をしていきたいと考えていました。
そのためにも、まずは、協力隊として、異文化・異環境の地で生活をしながら、仕事をしてみたいと思いました。
4.先にも書いたように、一度、社会に出ることも考えました。
しかし、一度就職して、仕事が軌道に乗ってくれば、だんだん負かされる責任も増えてますます仕事も面白くなってくるでしょうし、仕事以外の面でも、年齢が上がれば、結婚や出産、介護なども考えなくてはならないと思います。
そうなった時に、自分のことだけを考えて、選択ができるだろうか?と考えると、その時、目の前にあるチャンスを逃したくない、と思いました。
これらは、あくまで私が当時考えていたことなので、必ずしも、現状でも通用する・または他の人にも当てはまる、というわけではないと思います。
また、当時のブログを振り返ってみると、「自分は途上国の現状を知り、日本を変えるためにガーナへ行く。」と言っています。
恐らく、協力隊に参加するに当たって、迷う一つのポイントは、参加する時期・タイミングだと思います。
社会人経験なしに、大学卒業後、すぐに参加することは、いい面もありますが、その後日本で働くことを考えると不利な面もあります。
日本は圧倒的に新卒に対しては門戸が広く、中途では即戦力にならない限り、好条件で就職することは難しい社会だと思います。(地域やその人の資格・能力にもよりますが。)
また、最近の要請は条件として、社会経験や実務経験を課しているものも多いのも事実です。
実際、私が合格した要請は要実務経験でしたが、学生時代の国際NGOでの活動が評価され、合格することができました。
つまるところ、まずは、
「なぜ協力隊に参加したいのか」
「その後の進路・キャリアをどう考えているのか」
をはっきりさせる必要があると思います。
これは、協力隊に限らず、就職活動や進路開拓に共通して言えることですね。
何故、何のために、何を目指して、何をするのか
明確にするのは大変です。沢山悩むし、迷います。時間もかかります。
でも、自分と向き合い、自分の人生について真剣に考える、また周りの人々がそれに応えてくれる、という環境は人生の中でそうそうあることではありません。
そして、悩みぬいた末の決断であれば、その後困難にぶち当たったときも、自分の信念を突き通すことができると思います。
ひとりひとりが豊かに暮らせる社会を創るお手伝いをする薬剤師の日記。 学生時代に国際薬学生連盟(IPSF、オランダ)で本部役員として活動し、25か国を訪問。2008年より2年間青年海外協力隊エイズ対策隊員としてガーナで活動。帰国後、金沢で国際的な医薬品の品質、流通、政策を研究。病院薬剤師、医療者教育コンテンツの企画制作・編集者を経て医療経営コンサルタントに。講演・執筆、セミナー企画運営、キャリア支援、医療通訳・翻訳などにも取り組んでいます。 A pharmacist wishing happy world! IPSF executive committee member 2005-06, JOCV, HIV project coordinator in Ghana 2008-10, 2011- researcher on drug management and policy. 2013- Clinical pharmacist at international hospital. 2015- Educational content producer.
Wednesday, August 03, 2011
Monday, August 01, 2011
薬学生・薬剤師が海外で働く、国際キャリアを積むには
先日、Twitterで、日欧産業センターが開催する、薬学生を含む理工系の学生を対象にした、
ヨーロッパでの奨学金つきの語学研修(4ヶ月)+インターンシッププログラム
を紹介したところ、予想以上の反響がありました。
最近の学生は内向きだと言われていますが、そういう人ばかりでもないように思います。
海外で働くには、様々な方法があります。
数ある方法の中で、自分にあった手段を選択するには、漠然とした憧れだけでなく、
「何のために海外へ行って、自分は何を目指すのか」をはっきりさせる必要があります。
それによって、どこで何をするのか、そしてそのためにどんな準備が必要なのか、が見えてきます。
例えば、途上国で働きたい、活動したいということであれば、入り口の一つとして、青年海外協力隊やUNV(国連ボランティア)も一つの手段でしょう。
また、途上国に限らず、海外での就職を考えるなら、大学や大学院、または博士課程への留学も良いかと思います。資金が必要ですが、各種奨学金を利用することをオススメします。
また、博士課程に関して言えば、給与が発生する雇用契約をもっている国もたくさんあるので、
生活するには問題ないかと思います。
また、海外の生活や文化を体験したい、ということであれば、お金をためて、ワーキングホリデーを利用するのも良いと思います。 http://www.jawhm.or.jp/
私の友人も何年か薬剤師として働いた後、オーストラリアやカナダへワーキングホリデーを参加した人が何人かいます。
あとは、競争率は高いですが、WHOを初めとする、国連機関やFIPなどのNGOで働く、ということも考えられます。ただこれらは、高い専門性と語学力が必要であるのと、空席に対して応募するのが原則なので、タイミングよくチャンスが来るわけではありません。
http://www.geocities.jp/yohkocco0407/int_coop.html
直接採用にこだわらないのであれば、国家公務員になって、各機関に出向する、という手もあります。
何をするにも、語学力は必須です。
最低日常生活に支障のない語学力、そして、仕事をするには業務遂行可能なレベルの
語学力が必要です。
語学力を証明するために、TOEICやTOEFLは必ず受けておきましょう。
TOEFLは学術的内容を含み、結構難しいので、海外の大学院などへの留学目的でないなら、
まず実力試しに受けるならTOEICを受けるのがいいでしょう。
また、近年、欧州を中心に、多くの大学院入学で利用できる、IELTS(TOEFLの英国版)は、
記述試験や、口頭試問がありますが、TOEFLより、内容的には易しいという印象です。
目指すスコアの目安としては、TOEIC730、TOEFL550、IELTS 6.0 が、留学や就職で求められることが多いです。
(大学院留学や、外資系であれば、更に高い基準を設けているところもありますし、競争率が高い場合はスコアが高いに越したことはありませんが)
ただ、応募条件は各種企業・団体で異なりますし、留学であれば、応募時点で達していなくても、入学までにクリアすることで、許可が与えられる条件つき合格もあるので、点数に達していないからと言って、諦めないでください。
また、国際公務員を目指す方などに関しては、国連英検という試験があり、英語力だけでなく、国際常識を問うものです。 http://www.kokureneiken.jp/
英語が最も一般的でとっつき易いですが、フランス語ができるとヨーロッパに本部がある国連機関やアフリカ関連の業務を行う団体においては非常に有利です。
また、スペイン語や中国語、ロシア語なども重宝されるでしょう。
また、国連を含め、国際的に仕事をしていく上では、最低Master degreeは必要です。
また、学生さんの場合は、IPSF:国際薬学生連盟(www.ipsf.org )を通して、海外の学生と活動したり、交換留学プログラムに参加することもできます。
私は、IPSFの活動を通して得た、各国における人脈がとても貴重であったと日々実感しています。
日本でIPSFに加盟し、活動を行っているのは、日本薬学生連盟(APS-JAPAN http://apsjapan.org/ )です。
海外で薬剤師として働きたい、という場合は、その国の薬剤師免許を取得する必要があります。
取得方法や条件に関しては各国により異なります。
また、少し前まで、英国やカナダでは、薬剤師が地方で不足していたので、外国人の薬剤師の移民を積極的に受け入れていましたが、最近は充足しつつありますので、状況は変わってきています。
将来的に日本に生活基盤を置いて、国際的なキャリアを積みたい場合は、海外進出を積極的に行っている大手の企業や、外資系企業に就職するのもアリだと思います。
薬学生・薬剤師が海外で働く、国際キャリアを積むには その2 (スタート編)はこちらから。
質問・相談は左記メールフォームからお気軽にどうぞ。
ヨーロッパでの奨学金つきの語学研修(4ヶ月)+インターンシッププログラム
を紹介したところ、予想以上の反響がありました。
最近の学生は内向きだと言われていますが、そういう人ばかりでもないように思います。
海外で働くには、様々な方法があります。
数ある方法の中で、自分にあった手段を選択するには、漠然とした憧れだけでなく、
「何のために海外へ行って、自分は何を目指すのか」をはっきりさせる必要があります。
それによって、どこで何をするのか、そしてそのためにどんな準備が必要なのか、が見えてきます。
例えば、途上国で働きたい、活動したいということであれば、入り口の一つとして、青年海外協力隊やUNV(国連ボランティア)も一つの手段でしょう。
また、途上国に限らず、海外での就職を考えるなら、大学や大学院、または博士課程への留学も良いかと思います。資金が必要ですが、各種奨学金を利用することをオススメします。
また、博士課程に関して言えば、給与が発生する雇用契約をもっている国もたくさんあるので、
生活するには問題ないかと思います。
また、海外の生活や文化を体験したい、ということであれば、お金をためて、ワーキングホリデーを利用するのも良いと思います。 http://www.jawhm.or.jp/
私の友人も何年か薬剤師として働いた後、オーストラリアやカナダへワーキングホリデーを参加した人が何人かいます。
あとは、競争率は高いですが、WHOを初めとする、国連機関やFIPなどのNGOで働く、ということも考えられます。ただこれらは、高い専門性と語学力が必要であるのと、空席に対して応募するのが原則なので、タイミングよくチャンスが来るわけではありません。
http://www.geocities.jp/yohkocco0407/int_coop.html
直接採用にこだわらないのであれば、国家公務員になって、各機関に出向する、という手もあります。
何をするにも、語学力は必須です。
最低日常生活に支障のない語学力、そして、仕事をするには業務遂行可能なレベルの
語学力が必要です。
語学力を証明するために、TOEICやTOEFLは必ず受けておきましょう。
TOEFLは学術的内容を含み、結構難しいので、海外の大学院などへの留学目的でないなら、
まず実力試しに受けるならTOEICを受けるのがいいでしょう。
また、近年、欧州を中心に、多くの大学院入学で利用できる、IELTS(TOEFLの英国版)は、
記述試験や、口頭試問がありますが、TOEFLより、内容的には易しいという印象です。
目指すスコアの目安としては、TOEIC730、TOEFL550、IELTS 6.0 が、留学や就職で求められることが多いです。
(大学院留学や、外資系であれば、更に高い基準を設けているところもありますし、競争率が高い場合はスコアが高いに越したことはありませんが)
ただ、応募条件は各種企業・団体で異なりますし、留学であれば、応募時点で達していなくても、入学までにクリアすることで、許可が与えられる条件つき合格もあるので、点数に達していないからと言って、諦めないでください。
また、国際公務員を目指す方などに関しては、国連英検という試験があり、英語力だけでなく、国際常識を問うものです。 http://www.kokureneiken.jp/
英語が最も一般的でとっつき易いですが、フランス語ができるとヨーロッパに本部がある国連機関やアフリカ関連の業務を行う団体においては非常に有利です。
また、スペイン語や中国語、ロシア語なども重宝されるでしょう。
また、国連を含め、国際的に仕事をしていく上では、最低Master degreeは必要です。
また、学生さんの場合は、IPSF:国際薬学生連盟(www.ipsf.org )を通して、海外の学生と活動したり、交換留学プログラムに参加することもできます。
私は、IPSFの活動を通して得た、各国における人脈がとても貴重であったと日々実感しています。
日本でIPSFに加盟し、活動を行っているのは、日本薬学生連盟(APS-JAPAN http://apsjapan.org/ )です。
海外で薬剤師として働きたい、という場合は、その国の薬剤師免許を取得する必要があります。
取得方法や条件に関しては各国により異なります。
また、少し前まで、英国やカナダでは、薬剤師が地方で不足していたので、外国人の薬剤師の移民を積極的に受け入れていましたが、最近は充足しつつありますので、状況は変わってきています。
将来的に日本に生活基盤を置いて、国際的なキャリアを積みたい場合は、海外進出を積極的に行っている大手の企業や、外資系企業に就職するのもアリだと思います。
薬学生・薬剤師が海外で働く、国際キャリアを積むには その2 (スタート編)はこちらから。
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