Friday, December 01, 2017

地域で患者さんを支えていくこと

さまざまな医療機関からの処方箋が来る勤務先の薬局。数件だが小児在宅やターミナルの患者さんも受けていて、その中にいつも娘さんが麻薬を受け取りに来る患者さんがいる。
娘さんは医療職で、病気のことも麻薬のこともよく理解されていて、いつも明るい表情で「お願いしまーす」と処方箋を出してくる。

うちの薬局で麻薬を使ってる患者さんは数名しかいないので、麻薬の在庫はほぼなく、いつも処方箋が来てから発注している。そのため処方箋を受け取るときに「麻薬だけ明日になってしまいます」と説明すると、「わかってます。大丈夫です」と娘さんは答える。


ところが今回来局した際はいつもと様子が違った。
「今すぐ麻薬を取り寄せてください」
受け付けた薬剤師は、予想外の申し出に驚き、麻薬は他の薬と規定が異なるので近隣の薬局から譲り受けたりすることができない旨を説明したが、一向に納得しない。見兼ねた上級薬剤師が、医師と協議のうえ、その日はたまたま在庫が残っていた麻薬でしのぐこととなった。

担当した薬剤師は、「なんでこれまで理解してくれていたのに突然、無理を言い出すのか」と困惑していたが、麻薬の増量具合から想像するに、おそらく患者さんが苦しんでいて、家族はなんとかしたいのだと思う。

そんな中途半端な体制と覚悟なら、そもそも担当を引き受けるなよ、という考えもあるかもしれない。ただ近隣に麻薬が出せる薬局がほかにない以上、安易に「他へ頼んで」とも言えず、医師と管理者と相談してより変化に対応できる処方内容にしていくか、家族に遠くの薬局へ薬を取りに行ってもらうか、状態によっては遠方でも在宅対応してくれる薬局に相談するか、、、いずれにしても家族の負担は大きく、体制が整っていないなかで、地域で患者さんを支えていくことは簡単ではないと感じました。