Tuesday, October 04, 2011

ドラッグストアで「ロキソニンS」「ガスター10」が買えない、 を読んで



ドラッグストアで「ロキソニンS」「ガスター10」が買えない

かけ声ばかりのセルフメディケーション



日経ビジネスの上記の記事を読みました。
この記事には残念ながらいくつかの大事な視点が欠けています。


まず、何の為に薬剤師がドラッグストアに必要なのか、という視点。

薬剤師は第一類医薬品を売るためだけに存在する道具ではない。
患者や消費者の健康と生活を守る為にいる。

なのに、一類が売れないから、売れるように規制緩和をする、と言うのは患者の健康・生活を守るという最も重要な視点から見ると、本末転倒である。


本来、薬剤師は、一類医薬品に限らず、OTC全般、健康食品、また食品や医療用医薬品との相互作用、さらには必要に応じて受診勧奨や生活アドバイスなどの相談を応需してきたし、今後もすべきである。

私も実際、薬剤師としてドラッグストアで勤務していて、受診勧奨が必要なお客さんに出会ったことが何度かある。そう言った際は、地域の医療機関に連絡を取り、対応していただく事も、薬剤師だからこそできる。

今後、薬剤師がバイタルサインをとったり、フィジカルアセスメントをできるようになっていけば、ドラッグストアの薬剤師がプライマリヘルスケアの一翼をにない、長期的支援も可能になるし、相談応需と医療機関との連携が更に重要になっていく。


それだけ重要な役割をになっているのだから、薬剤師のコストが高いのは当然である。
しかし、薬剤師をコストに見合った、更にはそれ以上の有効活用するかしないかは、経営者次第だ。
ドラッグストアが価格競争以外で勝負する余地があるのは相談応需による信頼の獲得である。それができる薬剤師を獲得できるだけの、魅力的な企業になること、またそのような薬剤師を育てるのは、教育機関とドラッグストア各社の義務である。



また、薬学生のドラッグストア就職敬遠傾向に関しては、最近の薬学生と話す限りは、だいぶ、その様な偏見は減ってきていて、むしろ、ドラッグストアこそが、地域の核となり、トータルヘルスケアを実現できる場である、という認識も広まりつつある、と感じる。


また、ドラッグストアの仕事は資格(専門性)に関係ない、と言うの主張も、
どのような業務をするかは各社の方針によって異なるし、そして、
何をするか、ではなく、重要なのは何の為にするか、である。

一般従業員が行える仕事であっても、薬剤師が行うことで意味が変わる。

例えば、ハンドクリームを求めるお客さんに対し、ただ、ハンドクリームコーナーを案内するのは一般従業員でもできるが、お客さんの手荒れに対し、化粧品か、医薬部外品で対応すべきか、医薬品で対応すべきか、また原因や症状によっては受診を勧めるべきなのか。
この判断ができるのは薬剤師だけ。
たかがこんな作業、と言ってしまえばそれまでだ。



来年度以降、ドラッグストアの薬剤師不足が緩和される、と言うのも甘い予測に聞こえる。実際、ドラッグストア各社は新卒採用に苦労を強いられているところが多い。また深刻な人材不足の問題を抱えているにも関わらず、会社の方針として、新規出店ラッシュが続いているという矛盾も存在する。更には、ドラッグストア業界は離職率が高い業界の一つでもあると言う一面もある。


私達薬剤師は、社会が自分達をどう評価しているのかに対し、もっと敏感にならなければならない。
そして、自分達の職能、専門性、役割、責任とそれらの可能性に関して、もっと、社会に発信していかなければならない。
そして社会のニーズに応えられるよう、日々、学び、積極的に取り組んでいく必要がある。






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