ホームページやブログを通じて、若手の薬剤師さんや薬学生の方から進路やキャリアについて相談を頂きます。
私にとってそれは非常に嬉しいことです。
なぜなら、私自身が学生の時、日本で薬剤師として働くことに魅力を見出せず、悩んだ時に、誰に相談して良いのかわからずに苦しんだ経験があるからです。
最近の学生さんの悩みでよく聞くのは教育現場と医療現場の乖離です。
「学校では高度な薬物治療やチーム医療の中での薬剤師の役割について習うのに、実際現場を見てみたら、作業ばかりで、全然患者と接することができないし、患者を見ていない」と言うような内容です。
実習などで現場を見て、薬剤師の役割を改めて認識し、モチベーションを上げて帰ってくる学生も沢山います。
一方で上記のように、理想と現実のギャップに失望する学生も少なからずいます。
志が高ければ高いほど、悩み、苦しみます。
日本で薬剤師になるために、このまま勉強を続ける意味があるのか、医学部に入りなおして医師になった方がいいのではないか、または米国など海外で薬剤師になった方が自分が理想とする形で働けるのではないか、そのように考える人もいます。
個々によって、キャリアに対する価値観、人生において大切なものは異なりますので、それぞれにあった道があることと思います。
私自身も、学生時代から国際薬学生連盟を通して知り合った各国の薬学生と交流する中で、薬剤師として自分に何ができるか、悩み抜いた末に、卒後、青年海外協力隊として国際協力に関わることを選択しました。
ただ、現在私自身は、日本で薬剤師として働くことに魅力を感じています。
理由は主に二つあります。
一つは、自分が生まれ育った日本で、医療を通して日本の地域の人々の貢献したい、と言う思いがあること。もう一つは日本の薬剤師を取り巻く環境が、日々刻々と変化しているからです。
日本における薬剤師の立場は現時点では必ずしも理想的な環境にはないかもしれません。でもそこだけ見て未来への希望を捨てないでほしい。変えていこうという志を持っている人が沢山います。
薬学生のみなさん、どうか、現在の薬剤師を取り巻く環境が自分が一生働く環境だと思わないでください。
ここ数年だけ見ても、私が学生時代に米国の薬局で実習した際に、「米国の薬剤師はこんなことができるんだ」と衝撃を受けたことが日本で少しずつできるようになってきていることに、私自身は驚くと同時に、希望を見出しています。これからもっと変わっていくでしょうし、変えていかなくてはならないと思っています。そして同じように考えている仲間が沢山います。どうか、結論を急がずそう言った人たちに会ってみてほしいと思います。
そして、日本の医療をもっと良くしていこうと奮闘している薬剤師のみなさん。
伝えなければ、世間の人も、学生も、みなさんの活躍を知ることはできません。
どうか自分の考えや取り組みをもっと世の中に発信していきましょう。
※参考
国際薬学生連盟 www.ipsf.org 日本薬学生連盟 http://apsjapan.org/index.html
学生時代に活動していました。各国の薬学生と交流したり、団体を通して海外で実習を経験したり、また日本の医療を変えていこうとしている多くの仲間にも出会いました。
Pharm.Dクラブ http://pharmd-club.cocolog-nifty.com/blog/
日本の薬学教育、薬学実務の水準向上に貢献することを目的に海外で臨床教育を受けた日本人薬剤師のネットワークです。
ひとりひとりが豊かに暮らせる社会を創るお手伝いをする薬剤師の日記。 学生時代に国際薬学生連盟(IPSF、オランダ)で本部役員として活動し、25か国を訪問。2008年より2年間青年海外協力隊エイズ対策隊員としてガーナで活動。帰国後、金沢で国際的な医薬品の品質、流通、政策を研究。病院薬剤師、医療者教育コンテンツの企画制作・編集者を経て医療経営コンサルタントに。講演・執筆、セミナー企画運営、キャリア支援、医療通訳・翻訳などにも取り組んでいます。 A pharmacist wishing happy world! IPSF executive committee member 2005-06, JOCV, HIV project coordinator in Ghana 2008-10, 2011- researcher on drug management and policy. 2013- Clinical pharmacist at international hospital. 2015- Educational content producer.
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