2008年6月5日~13日(6月10日休み)の8日間、JICA東京でエイズ対策の技術補完研修に参加してきました☆
今回の研修では、
・ HIV/AIDSを様々な角度から総合的に捉えるために、知識を整理する。またその知識を活かすために、行動変容について学ぶ。
・ 異なる文化・宗教・規範のなかで限られた資源で、現地の人々とともに、最善の方法を見つけ、実行してくためにイメージングを図る。
・ 自分を見つめなおし、活かせる長所と強化すべき弱点を見つけ、今後の学習と活動につなげる。
という目標を設定してみました。
研修内容は、
<包括的対策の重要性と注意点>
メッセージを混在させると受け手を混乱させる。
対象は誰で、何のために何を伝えたいのか明確にする。
予防のみ重視しすぎると、当事者の人権が侵されることがある。また、HIV感染のみを防げばよいというわけではない。評価検討をし、効果的手法による、包括的アプローチが必要である。
<HIV問題の複雑性>
HIV感染症の取り組みにおいて難しい点は、個人だけの問題として捉えられてしまいがちなことがある。
また、パートナーの協力なくしては予防ができない。そこでジェンダーなどの問題が絡んでくる。
そして、社会的に公にすることを好まれない性産業やセクシャリティの問題も深く関係している。
これらに働きかけることなくして本当の予防・ケア・サポートは成しえない。
<限られた資源の中での選択>
途上国にはHIV/AIDS以外の問題も山積しており、現地の人々にとって、HIV/AIDSが最優先課題とは限らない。
Vulnerableな人々にとって、将来の展望が描けず、希望もない状態ではそもそも予防や治療の意味すら見出せないこともある。高価なARVを買うより、子供たちのために安価なワクチンや抗生剤を供給すると選択することもある。
また、治療にアクセスできる人と、そうでない人がいる。その時に、誰を優先させるのか。子供なのか、妊婦なのか働き手となる若者か。HIV陽性者の母乳にはHIV感染リスクがある。しかし、粉ミルクは高価で手に入るとは限らない。手に入っても、HIV陽性だと周りの人に伝えていない場合は、HIV感染が他の人にばれて差別・偏見にさらされる恐れがある。そして何より、粉ミルクを溶かすための安全な水が手に入るとは限らない。水が原因で下痢や感染症を引き起こし、命の危険があるのなら、HIV感染の危険があっても、母乳で育てるという選択をしなければならないかもしれない。このような現実の中、眠っている資源と可能性に目を向け、できることから現地の人にとってのベストに向かってともに取り組む必要がある。
<行動変容>
知識があれば行動に移せるわけではない。行動変容をもたらすには、現地の生活状況を理解した上で、それを尊重したプログラムが必要。また、陽性者の方々の協力不可欠である。
<支援の姿勢>
対象地域がどのような活動を通して何を達成しようとしているか、見極める。決して、自分ひとりでやろうとしない。現地の人々が主体的にかつ継続的に取り組んでいくために、支援していく立場にあるとこを念頭において活動すること。また、慣れるにつれて「恥ずかしさ」を忘れがちだが、そのような気持ちで参加している人がいることを忘れてはいけない。相手の立場にたって考えることが大切だ。
<必要な能力>
知識はあって当然。
忍耐力(困難に直面してもやり過ごす)
コミュニケーション力(語学だけでなく総合力)
課題発見力(アンテナをはり選ぶ)
事業形成力(創造、実行する)。
<必要な要素>
coordination(調整), facilitation(進行), initiative(主導、先導),
empowerment(潜在能力が発揮されるように働きかかける)
<学んだ技術>
HIV/AIDSを学習するためのワーク手法
・ アイスブレーキング
・ 水の交換(HIV感染シュミレーション)
・ Safer sexのRisk assessment(risky behaviour)
・ 陽性者の手記ワーク
・ ロールプレイ、劇 など
今後の課題としては・・・
・ 当事者から学ぶ姿勢を持ち続ける。当事者の気持ちは、そうでない者には簡単に理解できることではない、ということを忘れずに、自分にできることは何か考え、サポートしていく。
・ 対象地域・コミュニティにおいて、広く一般に伝えていかなければならないことと、個別にケア・サポートしていかなければならない事例とを見極め、効果的にアプローチする方法を、現地の人とともに模索し、実行していく。
・ 現地の言語、宗教、文化を学ぶ。それらを尊重した計画を立案する。
・ 他の感染症やSTIなど、現地で問題となっている健康問題について学習し、対策を考える。
・ VCTのマネジメント、検査・カウンセリングに必要な技術と知識を習得する。
・ PMTCT(母子感染予防)の実態を把握し、対策を考える。
・ 現地の治療環境について学ぶ
・ 現地の経済状況と、生活支援の可能性について調べる。
・ 現地でのJCIAの技術支援プログラムとの関連を調べ、協力体制を検討する。
・ 派遣までNGOでの予防啓発、VCT活動に参加したり、訓練所においても継続的に学習会を開催したり、予防啓発活動を実施したりする。
研修を通して、自分の性やHIVに対する見方を改めて認識することができました。
HIV positiveの方やSEX WORKERのお話を直接聞くことで、自分が持っていた先入観や偏見に気づきました。今まで対象を一くくりのグループとして見ていたと思います。HIV陽性であっても、そうでなくても、みなそれぞれアイデンティティを持った個人として尊重することを忘れてはいけないと思います。
また、HIV/.AIDSは予防・治療・ケア・サポートが包括的に、取り組まれるべきだと強く感じました。どれかに偏ってしまうと、弊害がでたり、平然と人権侵害行われたりする可能性もあります。また現実に差別・偏見は日本にも世界にも根強く存在していることを知りました。
我々は多文化で一様でないセクシャリティや個性が存在することを受け入れ、その上で、効果的な対策を実行する必要があると思います。
気づきや素晴らしい出会いの多い充実した8日間でした。
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