日本に80万人以上が罹患しているといわれている心房細動。
そして、その予後に大きく関わるのが、心房細動によりできた血栓による脳梗塞。
それを予防することが、心房細動患者における治療の大きな目標の1つです。
長年、その治療である抗凝固療法の中心を担ってきたのがワルファリン、そして5年前から立て続けに新規抗凝固薬、いわゆるNOACと呼ばれる薬が登場し、普及しつつあります。
今月の日経メディカル本紙の心房細動診療特集によると、日本の多施設前向き観察研究「J-RHYTHM レジストリー2」では、NOAC群で、血栓塞栓症の累積発生率が有意に低かったそうです。
さらには、副作用である、重大な出血も有意に低かったとのこと。これは非投与群よりも低く、抗凝固療法は出血リスクを増加させるはずなのに、なぜ?という感じですが、これは登録研究なので、それぞれの群で患者背景が異なるためだと考えられます。
上記研究は、循環器専門医がいる基幹病院における試験ですが、地域の医療機関を対象とした「伏見AFレジストリー」では、現時点までの最長5年の追跡においても同様の有益性は認められていないそうです。
レジストリを単純比較することはできませんが、この矛盾の原因として、同誌中で専門家は、地域で治療を受ける患者における服薬不良と減量基準を満たさない低用量投与の可能性を指摘しています。
高度医療機関においては、薬の期待される効果が出ている一方で、地域ではその実現が難しいとすると、どんなにいい薬があったとしても、多くの患者はその恩恵を享受できない可能性があるということになってしまいます。
アドヒアランスの確認、向上、適正な用量設定、これらすべて薬剤師の得意とするところ。
その役割を発揮することが期待されていると思いますし、地域の薬剤師を巻き込んだ臨床試験、さらには、薬局の薬剤師が率いる臨床試験でそれを証明して行くときなのではないでしょうか。
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