Sunday, November 01, 2009

ガーナでのHIVカウンセラートレーニング

先日、ガーナの国家エイズ対策プログラムのHIVカウンセラーのトレーニングに参加させて頂きました。

日本のNGOで行っていたHIV検査カウンセリングとガーナのNACPによるトレーニングの違いを知ることができて、興味深い体験となりました。

日本のNGOでは、カウンセリングにおいて、最も大切にしていたのは、カウンセリングマインドで、いかにクライアントの気持ちにより添えるかという点を重視していましたが、ガーナでは、スキルの習得を重視しているように感じました。

また、ガーナの研修は1週間の詰め込み型で、一気に実地のカウンセリングまで行うプログラムでしたが、日本では、数日間のトレーニングと実地をスーパーバイザーとともに段階を踏んで行っていく形式でした。


最も特徴的だったのは、検査を非医療者が行うことです。日本では検査行為は医療行為の一環であり、医療者が行います。しかし、ガーナでは検査もカウンセラーが行うようです。医療事故による暴露の可能性や、人為的ミスの可能性などを考慮すると、非医療者が検査を行うデメリットは大きいように思えるのでこの点は驚きでした。


カウンセリングの内容としては、日本では、プレテストカウンセリングにおいては、HIVに関する基礎知識と検査の説明などインフォームドコンセントを得るのに必要な最低限の事項をカバーするのみですが、ガーナでは、リスクリダクションや、コンドームデモンストレーションなども、プレカウンセリングの一環として行うという違いも学びました。日本のNGOでは、これらの事項はクライアントから聞かれた場合を除き、こちらから触れることは避けるべきとされていました。なぜなら、検査前のクライントは極度の不安と緊張状態にある人が多く、また、自分がしてしまったリスク行為に対して罪悪感を持っている為、これらの話題に触れることは、クライアントの不安をあおる危険があるからです。そしてそのような状態にあるクライアントに今後の予防について話をしても、聞き入れる余裕もない可能性があり、効果的でないからです。

しかし、ガーナとしては、ポストテストカウンセリングに戻ってこないクライアントや、プレカウンセリングのみで検査を受けないクライアントが存在することなども考慮し、このような方法をとっているそうです。

検査に関しては、日本は2種類の検査キットを同時に使用する方式ですが、ガーナでは1種のキットをまず試し、陽性反応があった場合のみ、2種類目を使用するということです。検査キットの限界および人為的ミスなどにより、擬陽性、擬陰性が一定の割合で発生することを考えると、この方法には、デメリットもあるが、この方法は検査キットの使用数が絶対的に少ないため、予算の限られた状況では最善の方法だと思います。しかし、クオリティアシュアランスをきちんと行わないと、クライアントの不信招きかねないと思います。


 
ガイドラインでは12ヶ月から24ヶ月以内にリフレッシャートレーニングをすることとなっているが、私の任地はまだ実施されていないので、HIVカウンセラー四半期会議や、母子保健部スタッフの月例ミーティングの機会を利用して、カウンセラーの知識や技術を再確認する機会を設けたいです。
また、ガーナでのトレーニングの形式は、講義が大半であり、多様なロールプレイやディスカッションの機会が少なかったので、そのような形式をもっと取り入れながら、実際のカウンセリングに近い形で研修を行いたいです。
ほとんどのカウンセラーは各コミュニティの施設でただ一人のカウンセラーであり、自分のカウンセリングを他の人に見てもらったり、評価されるという機会はなく、また逆に、他の人のやり方をみて学ぶ、ということもないので、定期的に、そのような場ができればいいと考えています。
またCT調査に関しては、今回得た知識を活かして、カウンセリングの立会い調査において、実際の現状に即したより適切な判断ができることにつながることが期待されます。

 
外国人がこのような国家プログラムの恩恵を受けれる機会は、そうそうないことであると思うので、参加できたことをとてもありがたく思います。
前から決まっていた、視察の旅の予定と重なってしまい、最後の2日間参加できなかったことは非常に残念でした。
今回の研修に参加する機会を提供してくださったNACPの皆さん、JICAガーナ事務所スタッフの皆様、ありがとうございました。

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