ひとりひとりが豊かに暮らせる社会を創るお手伝いをする薬剤師の日記。 学生時代に国際薬学生連盟(IPSF、オランダ)で本部役員として活動し、25か国を訪問。2008年より2年間青年海外協力隊エイズ対策隊員としてガーナで活動。帰国後、金沢で国際的な医薬品の品質、流通、政策を研究。病院薬剤師、医療者教育コンテンツの企画制作・編集者を経て医療経営コンサルタントに。講演・執筆、セミナー企画運営、キャリア支援、医療通訳・翻訳などにも取り組んでいます。 A pharmacist wishing happy world! IPSF executive committee member 2005-06, JOCV, HIV project coordinator in Ghana 2008-10, 2011- researcher on drug management and policy. 2013- Clinical pharmacist at international hospital. 2015- Educational content producer.
Sunday, April 21, 2013
比較する事は悪か
よく子供がこんな事を言う。
「○○ちゃんだって持ってるんだから、私もあのおもちゃがほしい!」
すると親は
「他の家と比べるんじゃないの!」と叱ったりする。
でも、他と比べる事。
これは本当に悪い事なのか。
日本に生まれ育ち
日本で常識とされていることが、全てだと思っていた。
海外へ出るまでは。
でも、アフリカのガーナに住んでいた頃
お箸で食事すると、
「なんでそんなめんどくさいもの使ってるんだ。手で食べた方が楽だろ。」
と笑われたり
「あなたはどこの教会に通っているの?」
と聞かれ、
「特定の宗教は信仰していない」と答えると
信仰熱心な彼らにひどく驚かれたり
ヨーロッパの植民地時代の奴隷貿易について話した時には
「私たちは欧米人を恨んではいない。同じ過ちを犯さないために、歴史を心に刻んで生きて行くだけだ」
と、日本と近隣諸国の歴史問題とは大きな考え方の違いがることを知ったり
身近な人が病気やけがをしても、医療を施す環境がないから、何もできないときも
「悲しい事だけど、神様が決めた事。私たちは、亡くなった人のためにも前を向いて一日を大切に生きて行く」
と言う話を聞いたり
今まで自分が信じてきた事
正しいと思っていた事は
日本、またはその地域で暮らす人が決めてきた大多数の人々の価値観の元
作られたものだったと気づいた。
つまりこの世に、絶対的なものって本当に僅かで、
相対的なものが多いということ。
そして、日本の良さ
日本で生まれ育ち
日本人である事のありがたさ
同時に、日本の異常さ
変なところ
外に出て
他のものを見て、比べる事で
自分はなにものか
自分の特徴や特性を
初めて自覚する事ができた。
一定の環境にずっと身を置きながらも
客観性を持つ事は不可能ではないと思う
しかし、それは容易でないと思う。
他を知る事、それは必ず己を知る事につながる
だから
子供や若い人たちには
どんどん新しい世界に飛び出して行ってほしいと思ってる
ただ、
そこで気をつけなきゃ行けない事が一つある
ガーナに住んでいた頃
「日本はいい国だろ。金持ちで便利で何でも手に入って」
「私たちも日本のような国になりたい」
と言われる事があった。
しかし
それを聞いた私の心は複雑だった
ガーナには不便も困難もあるけれど
子供たちは純粋な眼差しで、無邪気に笑いながら走り回り
老いも若きも、富めるものも貧しいものも
みんなで手を取り合い、助け合いながら暮らしていた
一方で
日本はどうだろう、と振り返ったとき
日本は日本でいいろことがあるけれど、
ガーナが日本のように、仮になったとしたら
この子供たちの目の輝きは失われるのではないかと
恐ろしくなった。
冒頭で書いたように、
誰かと自分を比べると
自分にないものに気づく。
そして
それがほしくなる。
新しいものや便利なものに対する憧れ
それはきっと
自然な反応かもしれない
でも、
それを手に入れる事が
本当に自分にとって必要な事なのか
それを手に入れて
自分たちが幸せになれるのか
よく考えなければいけないと思う
足りないものをあげればきりがない
完璧な人間、
完璧な国なんてないのだから
新しいものを求める事が悪いわけではない
けれど、
そういった事にばかり心を奪われて
今ある素晴らしいものに気づけなかったり
すぐそばにある幸せを見過ごしたりしないように
心がけていきたい
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